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私のガッコの同級生‥その10

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             「私のガッコの同級生‥イラストシリーズ」です‥
学校を出ていれば 誰にでも同級生がたくさん居るはずです
そんな自分のまわりにいるもしくは卒業して遠くで活躍している
あの頃の懐かしい 同級生たちにスポットを当て
イラストを交えて綴っていきたいと思います‥
 
イメージ 1
その10 老舗を継いだ みづほさん
 
熊本商店は地元で150年も続いている
造り酒屋の老舗です‥
 
でも
みづほさんはこの家が大嫌いでした‥
いつも大勢の大人が大きな掛け声で
仕事をしていました‥
 
独特のにおい‥暗い倉庫‥
大きな声と人ごみ‥こんな雰囲気も
イヤでした‥
 
もともとみづほさんは
静かなところで本を読んだり
クラシック音楽を聴いたりする
おとなしい少女だったので‥
 
大学を卒業したら事務系の仕事に就き
地元から 遠く離れたところで
静かに暮したいと思っていました‥‥
 
みづほさんは熊本家の一人娘‥
お父さんはひそかに婿をとって跡継ぎに‥って
考えていたに違いありません‥
 
でも‥みづほさんは
そんなお父さんの思惑をクソ食らえ‥って
思っていました‥‥
 
150年続いた老舗でも
お父さんの代で終わって欲しいと‥
 
大学卒業を間近に控え
3月から勤める商事会社に
思いを寄せながらくつろいでいた時
お父さんから 分厚い手紙が届きました‥
 
今までお父さんから手紙を貰ったことなど
一度もありませんでした‥
手紙を読み続けるうち‥
涙が止まりませんでした‥
 
お父さんの手紙は驚くべき内容でした‥
‥‥‥‥
 
大切なボクのみづほへ!‥‥
はじめてキミに手紙を書くけど‥
あまり深刻にならないで読んで欲しい‥」‥
 
そんな書き出しで綴られていた内容は‥
 
自分が罹っている重い病のこと‥
まだ若かった頃この老舗を継ぐことへの重圧で
一時死を考えたこと‥
 
その間‥不況の波の中で
何人もの大切な職人を手放し
その罪悪感が今でも頭を離れないこと‥
 
みづほ10才のとき亡くなった
やさしく美しい母のこと‥
 
どんなことがあっても
大事なみづほを 命をかけて
守っていくこと‥
 
‥‥‥‥‥
便箋は7枚に渡りました‥‥
 
1ヵ月後せっかく決まっていた
一流商事会社を辞退し‥
 
地元に戻ったみづほさんは
なぜか 晴れ晴れしていました‥
 
3年後お父さんが他界し‥
大嫌いだった造り酒屋の当主になりました‥
 
暗い倉庫をながめながら‥
早くこのにおいに慣れて
立派な跡継ぎになれたら‥
 
そんな思いで職人の後姿を
じっと見ていました‥‥

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